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なんてことを、照れもせずに言うんだろう。
聞いてる僕の方が、脳が沸騰しそうなくらいに恥ずかしい。
「あ、貴方こそ」
熱の引かない頬をそのままに、僕はちょっと彼を睨むようにして話を変えた。
「貴方こそいいんですか。思ったより随分、かっこつけです。こっそり、飲み比べの代金支払ったでしょう」
「あ……バレた。やった」
「やった、ってなんですか」
「だってバレた方が慎さんに「カッコイイ」って思ってもらえるじゃないすか」
「……その下心を自分からバラしてどうするんですか」
呆れた。
けど、可笑しい。
手を繋いでいる方の腕に顔を伏せ、くっくっ、と笑いが漏れて肩が揺れた。
ケホ、と小さく咳き込みながら、陽介さんも含み笑いをしているのが聞こえる。
かっこつけようとして、結局つけきれないとこが本当に、可笑しくて。
……可愛い。
キスするくらいなら、折半を提案する方がマシだと思っていたけれど。
今なら、ちょっとだけ出来そうな気がする。
そろ、と顔を上げると、すぐ間近に横たわった陽介さんの顔がある。
目が合ったままではさすがに恥ずかしくて、僕は少し目を伏せて。
僕の手を握る、陽介さんの大きな手に、唇を寄せた。
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