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咄嗟に性格の話にすり替えてしまったけれど、いくら僕でも翔子さんの言った「ねちこい」がそう言う意味ではないことくらいは、理解した。
翔子さんには、多分悪気はない。
けれど、それを聞かされた僕は複雑に決まっているし、僕には想像のできないことだけに受け答えの自信もなかったから話をすり替えた。
酷くもやもやした気持ちを表に出すには無様な気がして、格好付けて何でもない顔をしているけれど。
それでも二人が気を許したような雰囲気で話をしていれば、やっぱり気になってつい目で追ってしまう。
……恋愛って、疲れる。
……感情の起伏についていけない。
「ふー……」
一日の疲れと、消えないもやもやとが溜息になって吐き出された。
心許ない気持ちをどうにかしたくて、彼が寝ているのをいいことに隣に座って肩を寄せてみる。
こうして体温を感じれば気持ちいいし、安心もできた。
今の僕には、多分これ以上は無理だけれど、これ以上ない安心できる場所にもなっている、ような。
だって、陽介さんの感情には本当に嘘がない。
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