貴女が涙を飲んだワケ

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数秒固まっていた慎さんだったけれど、暫くして状況が飲み込めたのか、ほっと息を吐き出し強張っていた表情も緩む。 「すみません、少し、寝惚けた」 「当然です、まだ真夜中だし」 時刻は深夜三時になろうとしているところで、こんな時間にいきなり起こされたら寝ぼけても当然だ。 ソファの上でこじんまりとまとまっている慎さんは、話してる内に身体の力も抜けてくれる。 相手が誰かわかって安心してくれたんだと思うと、俺としては嬉しいくらいだったんだけど。 慎さんは、暴れた自分を申し訳なく思ってるみたいだった。 「一瞬、どこにいるのかわかんなくて……」 「俺が脅かしたのが悪かったんす。大丈夫ですか」 頷きながら、しっかり目を覚まそうとしているのか自分の頬をぺちぺち叩く。 それから、急に何かを思い出したみたいに、目を見開いた。
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