貴女が涙を飲んだワケ

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テーブルに運ばれてきたお粥は程よく温めてあり、梅干しと昆布の佃煮が小皿に乗せて添えてあった。 「美味しいです、めっちゃ」 「それは良かった」 「慎さんはなんか食べたんすか」 「まあ、適当に」 食に関することで慎さんのこの返事は、絶対怪しい。 殆ど食べてないんじゃないだろうか。 向いに座る慎さんの顔をじっと見ていて、なんだか少し、いつもと違うような気がした。 受け答えに、元気がないような、気がするのだ。 「なんかあったんすか?」 「え?」 箸を休めて、慎さんの顔を覗き込む。 頬杖をついていた慎さんは、気付いて少し顔を上げた。
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