貴女が涙を飲んだワケ

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「まあ、兎に角あれだこれだと話を聞きたがって面倒くさくて。もうずっと帰ってないせいもあって、僕だけでも正月に一度帰って来いってことになったんです。だから遊園地はほんとに、ちゃんと陽介さんの体調が整ってからで」 「え、それって彼氏も連れて来いって話になったんじゃないんすか」 さらっとそこを流そうとするからつい突っ込んじゃったけど。 間違いなく、今の流れだとそうなるよな。 慎さんは、図星を指されたと言わんばかりに気まずそうな顔だった。 「俺、行きますよ」 「は?」 「慎さんが嫌なら隠れてついて」 「そっちのが気持ち悪いです。僕より、貴方の方が嫌でしょう。いきなりこんな」 「全然。佑さんもいるんすよね? 慎さんの家族、会ってみたいし」 それに。 慎さんの元気がない理由がわかってしまった。 絶対、一人で行かせらんないだろう。
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