貴女が涙を飲んだワケ

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慎さんも、ほんとは絶対付いて来て欲しかったんだと思う。 だって、ちょっと沈んでいた顔が、今ほんのちょっとだけ明るくなった。 多分、体調が思わしくないのに、とか、付き合って間もないのにいきなり重い、とか色々考えてたんだろうけど。 体調なんかもう全然問題ないし、別に重くない。 「二月、結婚式にも慎さん送って行くじゃないですか。だったら事前に挨拶しといた方が、角も立たなくていいんじゃないすか?」 家族ぐるみの付き合いだって言ってたから、慎さん一人じゃなく、全員出席じゃなくても家族の誰かが一緒なんだろう。 だったら、とんぼ返りの言い訳を俺にしといてくれれば、多少は丸く収まるだろうし。 俺の顔知っといてもらえたら、家族もちょっとは安心するんじゃないんだろうか。 「それは、その通りなんですけど」 「いつ行くんですか?」 「元旦に。長居せずに夜には帰るつもりですけど」 「了解っす。準備しときます」 そう言って残っていたお粥を掻き込む。 慎さんはちょっと、複雑な顔をしていたけれど、最後には笑ってくれた。 「家族にも、そう話しておきます」 ちょっとはにかむような、笑顔だった。
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