貴女が涙を飲んだワケ

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慎さんの家族は、なんとも賑やかだった。 俺は、こういう場合年始の挨拶と初めましての挨拶とどっちを先にするべきなんだろうかと扉を開ける時になって今更考えていたりしたのだが。 「おかあさーん!! まこくん帰ってきたぁああ!!」 そんな挨拶どころか隣の俺にちらりとも目線をくれず慎さんに抱き着いたのは小柄で華奢な、どちらかというと和風の顔立ちの美人だった。 それを慣れた様子で受け止めながら慎さんが「これが姉の真衣です」と説明してくれた。 「え、お姉さんって年の離れた、って言ってませんでした?」 「離れてますよ、佑さんと同い年」 「マジっすか?!」 全然見えねえ! と驚いているとすぐに、ぱたぱたぱたと幾つかの足音が聞こえてくる。 「まこくん久しぶりー!」 と、足元に飛びついた小学生くらいの女の子が多分、慎さんの姪で佑さんの娘の佑衣ちゃんだろうか。 「あははは! 彼氏ができたいうからちょっとは女らしくなったか思ったら全然変わってへんやないの! 息子が友達連れてきたみたいやわ!」 「うるさいな、ほっといてや」 慎さんと顔を合わせた途端、げらげら笑いだしたお母さんはお姉さんと似た顔立ちだった。 ってことは、慎さんはお父さん似なんだろうか。 っつーか、慎さんが! 関西弁や!
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