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いや別に、子供相手に火花を散らすつもりはないんだけど、飛んで来る視線を真向から受け止めると、絵面的にそんな感じになる。
あ、そうだ。
そういやこれまだ渡してなかった。
と、上着のポケットから忘れていたポチ袋を取り出した。
これでちょっとでも態度が軟化しないだろうか、と目の前に差し出してみたのだが。
「いかがっすか」
すると、ぱしっと奪い取るように持って行かれた。
ああ、やっぱりあれなのか。
お年玉云々ではなく、真琴さんを巡っての火花なんだなこれは。
「こら! 佑衣、ちゃんとお礼言え!」
と、佑さんが父親らしく一喝してもぷいっとそっぽを向いてしまう。
しかし、真琴さんが膝の上に乗せたまま「コラッ!」というと態度は一変した。
「佑衣、ちゃんとお礼は言わないとダメだよ」
「……ありがとう」
渋々ではあったが、小さな声でそう聞こえた。
っつーか、膝、羨ましい。
熱出してる時に膝枕お願いすればよかった。
「親より真琴の言うことのがよく聞くんだよコイツ」
「真琴さんにべったりなんすね……」
「だって佑衣、大人になったらまこくんのお嫁さんになるもん」
言いながら、真琴さんの胸に頬擦りをして、得意げな顔で俺を見上げた。
羨ましい!
うえに、それはちょっと聞き捨てならん!
「それはだめ! 真琴さんは俺の嫁さんになるから!」
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