貴女が涙を飲んだワケ

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真夜中、ふと目が覚める。 寝汗をぐっしょり掻いてて、気持ちが悪いし喉も酷く乾いていたけど、なんだかすごく、頭はすっきりしていた。 高熱の時はどこかぼんやりしていた視界も今はクリアに見える。 見渡した部屋は常夜燈だけが付けられていて、しんと静まり返っていた。 昼間は結局殆ど寝ていて、慎さんが時々起こしてスポーツドリンクを飲ませてくれたのを覚えている。 その慎さんも、もう今はいないはずだ。 夕方に、暗くなる前に帰ってくださいとお願いしたから。 送って行く体力は期待できなかったし、暗い中、一人で帰らせるなんて絶対無理だし。 なんかあったらと思うと、おちおち寝てられない。 うちに泊まってもらうのも今夜はちょっと、怖かった。
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