貴女が涙を飲んだワケ

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台所に直行し、冷蔵庫の中にあった二リットルのスポーツドリンクのペットボトルを半分ほどまで一気に空けて、ひと息つく。 ふとガスコンロを見れば普段殆ど使わない片手鍋が出ていて、蓋を開けると粥が作ってあった。 俺の為に作ってくれたのだと思うと、つい口元がにやけてくる。 そんでもって、やっぱり帰ってもらってて良かったと、安堵もした。 こんな可愛いことばっかりされたら、さすがに理性を保つ自信がない。 いや保って見せるけど。 辛いっすよまじで。 よく見ると、いつも雑然としている調味料……ってもアジシオと胡椒と卓上醤油程度だけど、それらが綺麗に並んでいた。 台所だけじゃなく、全体がいつもより片付いているような。 今、灯りが付いているのは台所だけだが、リビングの方も薄ら照らされている。 部屋全体を見渡していて、ふと、ソファに二度、目を留めた。
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