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だからこそ、だからこそ。
今日の慎さんが、心臓がきゅんきゅんするくらい可愛かったとしても。
無防備な時こそ、怖がらせてはいけない。
それは重々、わかってんだけども。
つい、我慢ができなくなってそろそろと手を伸ばす。
緩いウェーブの髪は、灯りを反射して光沢のある絹糸のように見えた。
触れると指先に見えた通りの、艶やかな感触を残す。
頬に落ちる、長い睫毛。
薄桃色の少し開いた唇に目を留めると、今日、その唇で手に触れてくれた時の感触を思い出した。
彼女が初めてくれたキスは、手から心臓まで直撃し今も脳裏と肌にはっきりと残っている。
簡単に理性も吹っ飛ばしそうな威力だった。
実際弱ってる時でなかったら、きっと
捕まえて、ベッドに引っ張り込む勢いで抱き寄せて、ほんで……。
あ、やべ。
またドキドキしてきた。
これ以上触ったら止まれなくなるちょっと落ち着きたまえ俺。
しゃがんだまま頭を抱え、慎さんの姿を見ないようにして深呼吸。
つい最近もこれやったな。
慎さんの部屋で。
俺が寝てると思って気を抜いたのか、ぴったり寄り添って眠る慎さんが可愛くて可愛くて。
ベッドにそろっと運ぶ時、抱き上げる前に必死で深呼吸した。
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