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僕の手を口許に当てたまま嬉しそうに目を細める彼は、僕はまだ何も言ってないのに断られるとは思ってないように見える。
「ちょっとだけ」と引き下がらない彼に、小さく頷くと、二人同時に歩を止めた。
上向くと、すぐに近づく距離に目を閉じる。
ちゅ、と軽く触れ合う程度の、ささやかなキスだ。
それを唇に二度、それから瞼に。
たったこれだけのことなのに、陽介さんは必ず僕に確認を取ってからしてくれる。
たったこれだけの、ささやかなキスにも。
そのことが、嬉しくてくすぐったくて。
何より、胸が苦しい。
こんなにも、気を遣わせてしまっている。
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