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仕事始めの忙しさに追い回されて、流石に毎日は来られなくなったけれど(というか、平日に来ると慎さんがとても冷たい)
月曜の祝日には、やっと念願の遊園地デートもできた。
慎さんがおかしいと最初に思い始めたのは、その夜だったと思う。
あんまり楽しくて慎さんと離れがたくて夜は定休日の店で酒を作ってもらい、ついつい飲みすぎた。
「……え、帰るんですか」
しこたま酔いも回って、これ以上はまずいとスツールから腰を上げた時、慎さんがまるで引き留めたいような物言いをする。
ぽろりと、思わずこぼれたようなその言葉に、彼女は一瞬気まずそうに俯いた。
そんな表情に「帰りません! 帰りませんよ!」と今すぐ手を取りたくなるけれど、これ以上飲んで前後不覚になれば、それこそまた何をするかわからない。
「すんません、明日からまた仕事だし」
「そ、そう」
「遊園地、楽しかったっす」
後ろ髪を引かれる思いでコートを羽織って、出入り口へ向かう。
その時、つん、とコートを引っ張られるような感じがして振り向いた。
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