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慎さんが、少し変だ。
『あと、少し』
『もう少し……』
慎さんから唇にキスしてくれて、たどたどしく唇を舐めるその誘惑に、俺はものの見事に陥落した。
最初はそれでも、舌を交互に舐め合っては様子を見ていたはずなのに、気付けばカウンターに彼女を追い詰めるようにして退路を塞ぎ、手はがっしり首筋を抑えて貪るような口づけをしていて。
ん、ん、とくぐもった小さな声に漸く唇を解放したものの、理性はまだどこか遠くにぶっ飛んだまま。
赤く火照った唇が濡れていた。
どくどくと血が体中をめぐるのを感じながら親指で拭うと、飲みきれなかった唾液の筋が唇の端から首へと伝っているのを見つけて、吸い寄せられるように顔を埋める。
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