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えらい豪奢な高級ホテルで、流石あの高級住宅街に家を構える一家の結婚式だ。
口数の減った慎さんの様子を気にかけながらも、駐車場に車を預けて一緒にロビーに向かう。
会場のある階に着いたところで、遂に彼女の足は止まった。
「慎さん?」
「いや、うん。大丈夫」
気丈にそう答えたけれど、こちらを見上げる目が忙しなく左右に揺れて落ち着きがない。
全然、大丈夫じゃない。
周囲を見渡して大きな柱の影を見つけると、そこへ彼女の手を引いて一緒に隠れた。
「帰りましょう、無理して出ることないっすよ」
理由なんて、なんとでも出来るのに。
慎さんは、左右に首を振った。
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