夜と傷と、

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「……あの、さ」 抑々、何のために追って来たんだ。 篤だって、今更気まずい僕を招待なんかしたくなかっただろうに、両親同士の付き合いでそうなっただけだろう。 だったら当たり障りなく、このまま僕が帰ってやり過ごせればよかったはずだ。 「ずっと、避けられてんのはわかってんだけど、一回ちゃんと話したくて……正月にも行ったんだけど」 「……え」 初めて顔を上げた。 漸く動いた足が後ろに一歩ずり下がる。 正月に来た、とは、僕が実家に帰省した日のことだろうか? いや今は、それよりも……一体今更、何の話をしたいというんだ。 もう関わりなんか持ちたくないだろう、お互いに。 そう思っていたのに、篤はどうやらそうではなかったらしいということに、驚いた。
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