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「それじゃ、行ってくる」
受付を済ませて、後ろまでついて来ていた陽介さんにそう告げて小さく手を振った。
彼は、僕から見ても挙動不審なくらいにおろおろとして何かを言おうとしていたけれど、結局眉を八の字にして複雑そうな表情で
「ここで、待ってます」
と、言った。
「陽介くん、心配性すぎやない? まあ、そんだけあんたにべた惚れなんやろうけど」
「いや、あれは。女の格好をするのが久しぶりで緊張するって僕が言ったから。ついてきてって頼んだのも僕だし」
後は、当然、篤のことと。
あの複雑な表情はきっと、僕のさっきの発言にまだ狼狽えてるんだろう。
……そんなに困ることだろうか。
女から言われたら、嬉しいもんじゃないのか?
ちょっと、ひどくないだろうか。
あんな風に困った顔をされたら、くじけそうに、なってしまう。
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