夜と傷と、-2

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肩、筋肉すごい。 二の腕とか。 バスケしてたって言ってたからその名残だろうか。 馬鹿力だとは常々思っていたけれど、こうして身体のラインを目で追うと納得した。 羨ましい、僕なんか空手やっても全く筋肉つかなくて……それは多分間違いなく偏食のせいもあるだろうけど。 ……筋肉の線、綺麗。 がっしりしてそうな胸筋に触ってみたかったけれど、恥ずかしくてやめた。 ぬくぬくとした体温が心地よくて、うと、とまた眠気がくる。 もう少し寝ようかと、彼の腕の中で寝返りをうつと僕を囲っている両腕が見えた。 背中からの温もりにうつらうつら二度寝に入ろうとしていた意識で、彼の腕のラインをぼんやりと辿っていて。 幾つも走っている赤い線を見つけ、それが何かを覚った時に、眠気は吹っ飛んだ。 頬の傷なんて比べ物にならないくらい、ミミズ腫れになって深いものもある。 それは昨夜僕がやらかしたに違いない、無数の引っ掻き傷だった。
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