優しさを君の、傍に置く

12/40
前へ
/40ページ
次へ
「……それは、僕がその猫みたいに無愛想だと言いたいのか」 「真琴さんの猫パンチくらい全然平気ですってことです」 「……猫パンチ」 「はい」 まだ泣いた後の消えない目で、真琴さんがぽかんとした表情を浮かべた後、やっと少しだけ笑ってくれた。 「泣き虫なのも可愛いすけど……昨日の真琴さんは、可愛くてかっこよかった」 「……かっこいい?」 昨日の出来事に、かっこいいという言葉が真琴さんの中で当てはまらなかったようだ。 「かっこいい。ほんとは怖いのに、勇気を出して俺のとこに飛び込んでくれて」 そこまで言って、やっと意味を理解したみたいで。 湯気でも上がりそうなほど、耳まで真っ赤にして手で顔を隠した。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

497人が本棚に入れています
本棚に追加