優しさを君の、傍に置く

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昼休憩に呼び出されたカフェで、顔を見るなりのセリフに俺はすぐに切り返す。 「別れてねーよ別れたいって言われただけ」 「知ってる。でも真琴ちゃんこないだびーびー泣きながら話してたからちょっとお節介焼きに来た」 ってか、翔子ですらそんな別れ話で俺が引き下がるわけがないとわかっているのだ。 真琴さんだってわかっていないはずがない。 「ベッドから蹴り落とされたんだって?」 心底楽しそうに俺を指差して笑う翔子は、今や真琴さんの唯一の女友達であり親友である。 元カノが今カノの親友という、俺としては「やめてくれ!」と叫びたい状況だが、真琴さんにとって良いことなら仕方がない。 「しかも股間蹴り上げられて!」 ……多分、良いことなんだから、全部筒抜けになるのも致し方ないのだが。 実に楽しそうな翔子の顔には、かなりイラっと来る。
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