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「揶揄いに来たんなら帰る」
「違う違う! その……さすがに蹴り落としたのは初めてで真琴ちゃんも自分の行動にショック受けちゃってたけどさ。ほら、女の身体ってやっぱホルモンバランスとかでどうしても触られたくないときもあるし、特にあの子はさ」
「そんなんわかってる。だから蹴り落とされたことなんかどうでもいい。でも今回はちょっと怒ってる」
「あー……うーん、それもわかるんだけど。真琴ちゃんって恋愛に関することになると途端に臆病になるよねえ」
それもわかってる。
でも、臆病でも勇気を出してくれた夜がある。
真琴さんみたいに、怖い思いをした人が自分をすごく卑下したり、なんでも自分が悪いんじゃないかと考えがちなのだということも、わかってる。
俺だって、彼女の気持ちをちょっとでも理解しようと色々調べたりした。
そんなこと全部ひっくるめて、俺はあの夜を二人で過ごしたんだと思ってる。
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