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ぞわ、という感覚が、気持ちいい時とそうでない時がある。
その時、殊更嫌悪感を抱いてしまうのは、陽介さんに対してじゃなく行為にたいして、だ。
それを、ことあるたびに口にするのは、余計に言い訳めいて、言えなくなった。
けれどあまりに何度もそういう事があれば、いい加減に嫌われてしまうんじゃないかと怖くて、一人不安をため込む。
初めての夜、あんなにも大事に大事に抱いてくれたのに、それからもずっと触れる時はまるで宝物みたいにそれはそれは優しくしてくれるのに。
どうして、いつまでも
こんな突発的な衝動に襲われるんだ。
そんな苛立ちが蓄積した不安をも刺激して爆発した。
「もう無理だ! 別れる!」
いつもみたいに振り払っただけでなく、暴れた足が陽介さんの股間に当たって揚げ句ベッドから蹴りおとしてしまった時だった。
陽介さんを、足蹴にして蹴落とすなんて。
やらかしてしまってから、その光景に愕然とする。
彼は、少し痛そうに顔を歪めながらも大丈夫だとおどけて笑ってみせた。
だけど。
僕が癇癪を起こして「別れる」と言った途端、すごくすごく、怖い顔をした。
「何言ってんすか」
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