優しさを君の、傍に置く

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「……わかってます」 「ほんとに別れたいわけじゃないくせに」 「別れたく……ないけど……」 別れたいはず、ない。 だけど、時々すごく、不安になる。 いつか、面倒だと思われても僕には文句言えないんじゃないかって。 陽介さんはそんなこと言わない。 それは、よくわかってるのに。 頭の片隅ででも、そう思われてしまったら、哀しい。 でもそう思うのは全部、失いたくないからなのに、別れたいなんてなんで言ったんだろう。 「嫌われた。あんなこと言って、余計煩わせて……」 ついめそめそと涙が出て、ベッドの上で三角座りをして顔を伏せた。 「いやいや、煩わせたってその思考回路もおかしいよぉ。ってか、ただの痴話喧嘩だし。陽ちゃんは別れないって言ったんでしょ?」 「……でも、それから一週間以上連絡ないし店にも来ない」
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