優しさを君の、傍に置く

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「え、で、でも」 せめて、電話越しに一言謝りたかったけれど。 『ちゃんと、明日に。おやすみなさい』 ぷつ、と途切れた通話。 喜んでいいのかどうか、わからなかった。 謝らせてもくれなかった。 明日、話そうって……もしも本当に、別れ話になったらどうしよう。 でも、だったら旅行になんて行かない? もしかして最後のデートのつもりだったら。 おやすみなさい、なんて言われても明日が来るのが怖くて眠れない。 そう思いながらも、つまりは寝ろと言われたのだろうと、言われた通りにベッドに這いずり上がる。 携帯を握ったまま、枕に頭を落とした。 もう、何日も顔を見てない、と数を数えると、ぽろ、と涙が零れた。 僕はいつから、こんなに弱くなったんだろう。
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