優しさを君の、傍に置く

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「真琴さん! 次はあれ! あれ並びましょう」 「ちょっと待て! さっきから立て続けに激しいのばっかりだろう、次はもう少し平和なやつを……」 「いいじゃないすか、あれ人気だし。並ぶ時間が休憩っすよ」 僕は別にジェットコースターが苦手というわけではないけれど、こうも激しいのを連続で乗ると流石に疲れる。 しかし疲れ知らずの男は並ぶ時間が休憩だという。 そんなわけあるか! という、突っ込みは無意味なので、引きずられるように次のアトラクションへと向かう。 並んでいる間、陽介さんは僕に花壇の淵や手すり側などを譲ってくれて座れるようにしてくれるし、その間に飲み物を買ってきてくれたりもするので、確かに休憩だと言われれば反論はしがたい。 「いい天気になって、良かったっすね」 振り向いた陽介さんが、目を細めて言う。 その優しい顔に安心していいのか悪いのか、まだわからない。
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