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「……あの、真琴さん?」
「腕、出して」
布団に収まったのを確認したからか、顔の赤味は収まってきたけれど、今度は拗ねたような凹んでいるようなそんな顔だ。
言われるままに、腕を差し出したが。
「別に、たいして痛くもないっすよ」
「そんなわけない。消毒もせずに寝たでしょう、化膿したらどうするんですか」
どうやら、薬品の匂いは傷口を消毒してくれたらしい。
普段救急箱なんか開けることないから、消毒液なんてものが入っていたことも覚えてなかった。
真琴さんは相変わらず、絆創膏を貼ろうと色々向きや大きさを考えているみたいだが、どう貼っても傷が粘着テープのところに当たる。
唇を噛みながら、ああでもないこうでもないとしている姿は可愛いけれど、さっきの涙が気になって。
「貼らない方が、渇いてすぐ治りますって」
「でも」
「それよりもうちょっと、だらだら寝ませんか」
手を取って、ベッドの中に誘った。
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