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灯りを消した方が綺麗に見えるのだと気が付いて、真っ暗な部屋で窓の外を眺めていた。
色とりどりの光の中央にシンデレラ城があり、その真上に閉園間際の花火が上がる。
「すごいな、全力で夢の国だな……」
ついさっきまで、自分があそこにいたのだと思うと、同時に陽介さんのプロポーズを思い出してしまって、また恥ずかしくて落ち着かなくなる。
あああ、やばいだめだ考えるな。
陽介さんが戻って来るまでに気を静めようと思ったのに、余計に動悸が激しくなってきた。
ごん、ごん、と窓ガラスに向けて額を打ち付けるが、少しも動悸がおさまる気配がない。
チェックインしたとこまでは、まだ良かった。
二人でホテルに泊まるなんて初めてだったから、ちょっと新鮮な気持ちぐらいだったけど。
だけど、部屋に入った途端、急に顔も見れないくらいに恥ずかしくなって、自分の部屋や陽介さんの部屋で一緒に夜を過ごしたことは幾度となくあるのに、なんでこんなに動揺するんだろう。
プロポーズされた後だからか。
ホテルという空気がそうさせるのか。
シャワーを順番に浴びた直後、この後雰囲気がどのように移行していくのか急に怖くなって、兎に角落ち着きたかったのだ。
「プリンが食べたい!」
と、いきなりわがままを言った。
もうパジャマに着替えていたというのに、すぐさま着替えなおして喜んで買いにいってくれる陽介さんは天使だと思う。
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