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朝、僕はいつもの公園に向かった。
今日は朝からどんよりと重たい雲がかかっている。
公園は誰もいなかった。
けど、もしかしたらおじいちゃんが来るかもしれない。
ぽつり、ぽつりとした雨がやがて大雨になった。
僕は立ち上がろうとしたけど、どういうわけか体が動かなかった。
体が鉛のように重たい。
なんとか前足を踏ん張り、後ろ足を立ち上がらせたけど、僕の体は地面に倒れた。
『あれ、……なんで力が、入らないんだろう。』
容赦なく雨が僕の体を叩いた。
雨は冷たくて嫌い。
だから、立ち上がって家に帰らなきゃ。
……でも、力が入らない。
どうしてこんなに体が重たいんだろう。
『バカ犬っ!』
声が聞こえて、返事代わりにシッポを振った。
そのシッポがパタリと小さく動いて、動かなくなった。
『おじいちゃん。おじいちゃんにもう一度会いたい。』
鉛色の空と大粒の雨が視界に入り、僕は目を閉じた。
『もう、僕。
動けないや。』
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