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◇◇◇
朝から降り続いた雨は昼頃には止んだ。
橋本家に車が到着した。
草太は車を降りて扉を開けた。
「じいさん、お帰り。」
祖父の友蔵は歯を見せて笑った。
「おう。まさか、こんなにも留守にするとは思わなかったけどな。」
「もう、お義父さんたっら、大変な状態だったんですよ。」
「まったく、これからは気をつけてくださいね。」
妻と嫁から言われて友蔵は笑った。
草太の助けを借りて車から降りた。
嫁がすかさずに、杖を差し出した。
「まさか、杖を使う日がくるとはなぁ。」
友蔵は苦笑すると。顔をあげて前に進んだ。
「ゴンはどうしてるかの。俺がいなくて淋しがってるんじゃないのか。」
友蔵は犬小屋へ足を向けた。
数歩でその足が止まる。
「……ゴン?」
鎖に続く首輪を見つめて、慌て辺りを見渡すが愛犬の姿は見当たらない。
草太もやって来て、空の首輪を見てはっとしたように
「まか、あいつ」
草太は走って門を抜ける
「待ってて、ゴン連れて帰って来る!!」
草太は公園の前に着いて目を見張った。
濡れたアスファルトの上にさらにずぶ濡れた茶色の物体が倒れている。
「っっ!!?ゴンっっっ!!?」
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