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数日後。
夕方になると玄関先でどこの家も火を焚いていた。
細長い煙が空にたなびく。
僕、知ってる。たしかお盆てっヤツ。
空が藍色と茜色に混じる頃、
塀の上のミーコが立ち上がった。
『アキッ!』
『え?アキ?』
僕は目を見開いた。
だって、アキは死んだはず。
セーラー服を着たアキがミーコの前にやって来た。ミーコはアキの胸に飛び込んだ。
『アキっ!やっと会えた。』
アキはミーコを抱き締めて、隣の家に入って行った。
すーっと消えるように。
ううん。本当に消えたんだ。
家の扉をすり抜けるように消えて行った。
『え?え?え?え?』
『ほんと、お前てっバーカ犬。』
ばさり、と羽音と共に塀の上にカラスが止まった。
『お前、ほんとに気づいてなかったの?ミーコはユーレイだったんだよ。』
『えええええ????』
カラスは隣の家を見た。
『飼い主に会えたから、ミーコも成仏するだろ。』
そう言うとカラスは夕暮れの空を飛んで行った。
「ゴン。スイカ食うか?」
『うん。食べる』
縁側からおじいちゃんの声がして、僕は走って行った。
ソータが後で犬はスイカなんてたべないよ。と言ってる声が聞こえた。
完
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