僕とおじいちゃん

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ある日、いつものようにおじいちゃんと散歩へ行き、ゲートボールを公園の外から観戦して、お家に帰ったら、僕の家(小屋)の前の塀に隣の家の三毛猫のミーコが座って僕を見下ろしてた。 『あのねっ、ミーコ。おじいちゃんのゲートボールすごかったんだよっ』 ミーコはぱたりとシッポを振った。 『その話は何回と聞いたよ。』 ミーコと話している間におじいちゃんは僕の首輪からリードを離し、鎖に繋いだ。 『今日のは特別すごかったんだよ!』 はっ、とミーコは鼻で笑った。 『毎回毎回うるさい犬だこと。相手にしてられないね。』 『じゃあ、なんでいつもその塀の上にいるのさ?』 ミーコがまたシッポを振った。 僕たち犬は嬉しい時にシッポを振るけど、猫はその反対。 苛立った時に振るんだ。 『バカ犬をからかうためさ。』 『むきーっっぃぃ』 ミーコはそう言ってるけど、僕は知ってる。 ミーコは塀の上で待ってるんだ。 アキが帰ってくるのを。 アキは去年、飲酒運転の車に跳ねられて死んだ。葬儀もすませた。 ミーコもアキが帰ってこないことは分かってる。 でも、今もアキが帰ってくるのを塀の上で待ってる。 アキを見つけやすいように。 「ゴン。自分より小さいものに吠えてはいけないよ。ミーコが怯えてるじゃないか。」 おじいちゃんが、ごはん皿にドックフードをこんもりと入れて持って来てくれた。 ミーコは、意地悪なことにか細く泣いたんだ。 『む、む、むきーっ』 「これ、ゴン!」 パシリとおじいちゃんにはたかれた。 なんて理不尽なんだ。 しょんぼりとする僕の上でミーコがにやりと笑った。 あまりにもムカついたので行き場のない怒りを地面にぶつけて穴を掘った。 「すまんのー。ミーコ。もう大丈夫じゃからな。」 『にゃおん』 僕は自分で掘った穴に鼻を入れた。 『ふんっ』
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