僕とおじいちゃん

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僕のお散歩は朝の8時と夕方の5時。 ……夕方になっても誰も帰ってこない。 僕の心は不安でいっぱいだった。 お空の色が茜色になって、暗くなった時におばあちゃんとママが帰ってきた。 二人は慌ただしく家に入っていた。そしてしばらくしたら、大きなカバンを抱えて出てきた。 旅行でも行くのかな? 『ねぇ!』 「ああ、ごめんね。ゴン。ごはんね。今日はお散歩は行けそうにないの。」 ママは僕を見るとそう言って 「お義母さん、先に車に乗っててください。」 ママはそう言って、僕にごはんを持って来てくれた。 『何があったの?ママさん?おじいちゃんは?』 「たから、お散歩は行けないの。」 ああっ、どうして僕の言葉を分かってくれないんだろう。 ママはおばあちゃんと車で再び出かけてしまった。 『もうっ!いったい何が起こってるのさっ!』 『うるさいバカ犬だね。』 塀の上を見たらミーコがいた。 『ミーコ!』 『なんだいアホ犬。』 『家が変なんだ。なんでだろう?』 ミーコは金色の鏡のような瞳で家を見た。 『…………。』 『ミーコ。』 ミーコはシッポをぱたりと振った。 『私にわかるわけないだろう。』 ミーコの言葉に僕は項垂れた。 ミーコは大きくのびをすると動きだした。 『……仕方ないね。皆に聞いて情報収集してくるよ。』 『!ありがとう!ミーコ!』 ミーコは、ふん、と言うと軽やかに塀から降りて道路を走っていった。 猫はやたらと情報通だ。僕達犬よりもコミュニティーを持っている。 僕はひとまず安心して、ごはんを平らげた。
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