第十章 誰かが誰かを殺す時二

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 どこで、丼池は知ったのだろうか。 俺が唖然としていると、丼池は泣きそうな顔になった。 俺は、肯定してしまったのだろう。 「……死なせない」  未来を変えてみせる。  そこで、儀場の鹿敷への思いが僅かに理解できた。死なせたくないだけであったのか。 「俺は遊部さんと愛して守って、それを春道さんに引継ぎます」  俺は、こんないい男に出会えて、愛されて良かった。 恋愛は女性だけと思っていたが、それを覆す素晴らしい人に会えて良かった。 ……幸せを共有したいと思える人に、めぐり合えてよかった。 「俺は丼池君を生かす。絶対に……」 一緒に生きてゆこうと思える人に、出会えて良かった。  俺は、丼池に抱き着いたまま、眠ってしまっていた。 『誰かが誰かを殺す時』了
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