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「おやめなさい。彼は顔にひどい火傷の跡があるの」
わたしが大きな声でそう言うと、警備隊長が銃口をわたしの方に向けた。カイトが振り返り「セシル!」と叫んだ。
「お前もこいつの仲間か」
警備隊長がわたしに歩みより、銃の先でわたしのターバンをずらした。布がズレて、まとめていた金の髪がするりと垂れる。
「な……ッ」
警備隊長はわたしと目が合うと、言葉を失った。少しの静寂の後、隊長の後ろにいた警備兵がつぶやいた。
「……ルシア姫殿下?」
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