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警備隊が先導し、わたしとカイトがラクダでその後ろをついていく。隣のカイトが声をひそめて、わたしに聞いた。
「わけがわからないんだけど。君はルシア姫のそっくりさんか?」
カイトの前ではただの“セシル”でいたかったけれど……こうなったはもう、隠してはおけない。
「いいえ……本物です。わたしはあなたが殺そうとしている王の2番目の娘」
「そんな……」
「父を殺そうとしているあなたに名乗るわけにはいかなくて、偽名を使いました」
カイトはよりいっそう、声をひそめた。
「……どうしておれを助けた? それが本当ならばおれは君の敵のはずだ」
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