14人が本棚に入れています
本棚に追加
「現王に……国を治める資質はありません。自己顕示欲が強く派手好き。インフラ整備なんてただの名目で、本当は民から集めた血税で贅沢三昧。そして思いきって忠告した姉様を反逆者として牢獄に放り込んだ」
「君のお姉さんを……」
わたしは牢に入れられた姉を助けようとして王の反感を買った。しかしわたしを処分する大義名分はないし、臣下の目もある。わたしは水も剣も何も持たされず、灼熱の砂漠に一人きり置き去りにされた。
“お父様! やめてください。行かないで!”
“お前など娘ではない。その黄金の髪が欲しくて奴隷商から買っただけだ”
それが王と交わした最後の言葉だった。
「王を滅ぼし、あなたたちが実権を握るといいでしょう」
カイトはそれから、何かを考え込んでしまって何も話さなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!