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夜の砂漠は風が冷たくてからだが冷える。カイトは分厚い毛布をわたしに肩からかけてくれた。ターバンを巻いた彼が優しく微笑む。
「……ありがとうございます」
「いいよ。ほら、ミルクも温めたから飲みなよ、セシル」
カイトの手から銀の器に入ったミルクを受け取る。ふぅ、と息をつくと、温かい湯気が顔にぶわっとかかる。ミルクの優しい匂いに心が落ち着いた。
「……足、大丈夫か?」
さっきカイトが添え木をして布を巻き固定してくれたが、少し動かしただけで痛む。
「ダメみたい。ここではぐれた仲間たちに見つけてもらうのを待ちます。もしよければ……それまで一緒にいてくれたら助かるのだけれど……」
カイトは少し困った顔をした。無理もない。わたしたちはついさっき会ったばかりの他人だ。
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