黄金の髪の娘

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「それは……すみません。あなたの事を止められたら、なんて……」 正直に話すと、カイトは少し笑って、ため息をついた。 「素性を知っても隣にいたいほど好みのタイプだったのかと思った」 「な……ッ」 暗闇に目がなれて、カイトの端整な顔が少し笑うのが見えた。 「冗談だよ。止めないで。おれは王以外殺さない。民のことは傷つけない」 カイトの気持ちはわかる。今の王になってから税金が倍になり、砂漠の民の生活が困窮した。 「でも――…」 「聞きたくない。もう決めたんだ。インフラ整備のために金が必要なのはわかる。でも王の政治はむちゃくちゃだ。こんな政策を続けたら、国民が死んでしまうよ」 わたしもそう思う。しかし王は誰かの進言を聞く性格ではない。自分が世界で一番正しいと思っている。 「……ここで政治談義をしても仕方がない。もう寝よう、セシル。おやすみ」 「……おやすみなさい……」
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