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集団との距離が近づいてきて、彼らが何者かがわかった。王都の警備隊だった。10人はいる。
彼らはわたしとカイトを取り囲んだ。警備隊の先頭にいた、一番偉そうな男が長い鉄砲の銃口をカイトに向ける。手元が狂えばすぐ殺されてしまう。顔を隠したカイトは言い返した。
「……いきなりひどいな」
「顔を見せよ。後ろの女もだ。我々はクーデターの首謀者カイト=レイヤードを探している。もうすぐ王都に入ると情報を聞き付けたのだ」
「……おれは関係ない。どこのバカが女の子連れで国家の転覆をはかるんだ」
つかうかとわたしたちに近づいた、ひげ面の警備隊長は銃口をカイトの額にぴったりとつけた。
「顔を見せよ」
「……乱暴だな」
カイトが肩をすくめた。
「早くしろ。さもなくば、このまま撃つ」
カイトの面は警備隊には当然割れている。顔を見せても見せなくても、彼は殺される。
カイトが自分のターバンに手をかけたのを見て、わたしはぐっと拳を握り、大きく息を吸い込んだ。
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