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トキとは高校時代の友達の中でも趣味や感覚が似ていて異性でも信頼できる友達。今日みたいに気軽に訪ねて来るのは珍しくないし、本やDVDの貸し借りのついでに電球の交換も頼んでいた。
だけど、寛之さんと“これから”を考えるなら、トキとの付き合い方は変えなきゃいけない。
寛之さんのアレは嫉妬してくれたんだよ、ね?
冷たい態度から一転した寛之さんの優しさや男らしさを思い出して、溺れそうな気持ちを落ち着かせる。
そういえば、トキからプレゼントを貰うことは初めてかもしれない。しばらく悩んでからリボンを解いて恐る恐る箱を開けてその中身に目を凝らした。
「ぼ、ボールペンよね…」
純白な胴部分の艶と回転部分のシルバーの輝き。手に馴染む質感と重厚な感じが友達への贈り物にしては意味深いものだと主張する。
紙袋の中にメッセージカードらしいものは見つからない。
失礼だとわかっているけど、何か手がかりが欲しくて箱に記されてあるアルファベットで検索すれば、それは直ぐにヒットした。
「素敵…だけど、これは受け取れない」
深夜に電話は出来なくとも、SNSのメッセージを送らなきゃ気持ちが収まらない。
自分宛にと差し出された時にもっとハッキリ断ればよかった。寛之さんを気にして咄嗟に受け取ってしまったことを悔やむ。
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