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まぁ、かれんが海の中に入って行くのは、想像がついた。かれんならそうするだろうと思ってたし、俺も中に入らくっちゃいけなくなるとも予想し、俺も水着を持ってきていた。
一度駐車場まで戻ってからワンピースを置いて水着に着替え、海に戻ってくると、ぷかぷかと浮いているかれんが、驚いたような顔をして出迎えてくれた。
「水着持ってきてたんだ」
「どうせ、お前を海に連れて来たらこうなるだろうと思ってたしな」
「なぁ~んだ、水着を着てきたのもバレてたんだ」
残念そうに言うが、それは予想外だったよ。かれんなら下着で入ってもおかしくないからな。昔から知っているかれんは、そう言う女の子だと、よく、知っている。
けれど、そう言った後のかれんは、俺を振り回してきたやんちゃ女と同じ人間だとは思えないほど、つまらなそうな顔をしながらただ海に浮かんでいた。
「みてみて、私沈まないよ」
波に揺られながら、そんな当たり前のことを言うと、片方の腕を空に向かってあげて、まるで陽光を遮るように掌を広げると、また口を開く。
「今ね、私はちょうど境界線の上にいるの。こうやってぷかぷか浮いててね、どっちつかずなんだ。それで、もう少ししたら沈んで行っちゃうんだ」
いつになく真面目そうに言うが、かれんらしくもないことを言う。それに寂しそうな顔。そんな顔をさせるためにここに連れてきたわけじゃない。
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