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「そっか。じゃ、入ってみる」
と、かれんが急にそんなことを表明した。俺の荷物は持ってきてるけど、お前の荷物はねぇんだぞ? ってことはお前水着もなんも持ってきねぇじゃねぇんだぞ?
なんて思っていたら、かれんは白いサンダルを脱ぎ捨て、砂浜に足を取られながら走って行くのを見た。足だけ浸かるんだなと納得する。それなら水着もいらねぇか。
俺も靴を脱いで、適当な日陰にかれんのサンダルと一緒に置いて歩き出す。足の裏が熱いやら貝殻みたいなのが刺さるやらで、めちゃくちゃ痛かった。
「冷たい! 冷たいよ新太!」
一足先に波打ち際までたどり着いたかれんの足に、白い泡を立てながら波がぶつかると、彼女は目を閉じたり開いたり、そんでもって嬉しそうにこちらを振り向いて手をばたばたとさせてはしゃぎまわる。
海に足を浸けているだけでも、喜んでくれるなら連れて来た甲斐があったってもんだ。
「きもちぃ~~~! ねぇ、新太」
「なんだ?」
「裸で入ったら、もっと気持ちよくなれるかな?」
つい吹きだしてしまった。いきなり何を言い出すんだこいつは!? そんな反応を見て、かれんは悪戯っぽく笑った。こいつ、ふざけていいやがったな!
「変なこと言ってんじゃ……」
言いかけたときに、かれんがワンピースの裾を掴んでまくり上げ始め、俺は目を丸くした。
「ちょ、何やってんだ!?」
まさか、こいつ本気で裸になって海に入るつもりかよ。確かに人はいないが、それはダメだ。
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