あの時彼は

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いつバレるかとドキドキしながらも、このひと時を堪能していた俺。 だけどこの後、今度は動こうにも動けない事態に陥る。 ことん、と肩に微かな、軽い衝撃を感じる。 同時に、今までよりずっと間近で、シャンプーの香りがした。 慎さんの頭が、肩に乗っかって来たのだ。 え、これ。 もしかして、これ。 慎さん、寝ちゃった、のだろうか。 判断が付かないまま暫くそのままでいると、やがて静かに規則的な寝息が聞こえてきたのである。 寝た! 寝ちゃった! ようやくそろりそろりと目を開けて、自分がいつの間にか毛布を掛けてもらっていることに気が付いた。 次に、自分の手に寄りそう慎さんの可愛らしい手が目に入って。 視線を横にずらすと、視界の端に色素の薄い、明るい髪色が見えた。
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