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……慎さん?
と、声を出せば起こしてしまいそうで、頭を前に傾げて顔を覗く。
はっきりとは見えないけれど、瞼は両方ともしっかり閉じられている。
ああ、やっぱ寝てる。
俺の傍で、安心して眠ってくれる。
今は俺が寝てたからってのが前提でも、いつか無条件でこんな風になってくれればいい。
そう思うと、起こす気にはなれなくて
このまま寝たふりを続けたら、そのうち目が覚めて自分からベッドに行ってくれないだろうかと思ったのだが、全くその気配はなかった。
お風呂の後のぬくぬくとした体温とシャンプーの香りに只管悶々とさせられながら時間をやり過ごし。
慎さんが熟睡してから毛布にしっかり包んで、起こさないように慎重にベッドまで運んだ。
抱きしめた感触に思わずキスの一つもしたくなるのを唇を噛んで耐え、思わず身体のラインを手がなぞりそうになるのを無理矢理抑え込んで悶えたのを。
彼女は知らない。
安心してもらえるなら、それでいいのである。
ツラいけど。
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「あの時彼は」
終わり
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