あの時彼は

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目は瞑ったままで、徐々に脳内は覚醒する。 どうしよう、起きるべきなんだけど。 なんか傍でシャンプーの香りさせながら、物憂げな独り言が聞こえてしまったから目を開け辛い。 どうするべきか葛藤を続けているうちに、事態は急展開する。 「ふー……」 と、深い溜息がしたかと思うと。 慎さんが隣に座って、ぴっとりと肩を寄せて来たのである。 ……なんだ。 なんだ、なんでこんな状況? まさか慎さんの方からこんな密室でくっついて来てもらえるとは思っていなくて、頭の中はパニック状態だ。 あああ! どうしよう! 本当は起きた方がいいんだろうけど これって多分俺が寝てるからくっついてくれてるんだよな。 そう思うとつい、寝たふりを続行してしまったのである。
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