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ロビーは広くて、ところどころにソファも設置してあり待機する場所がないわけではない。
かといって、フロント前のロビーのようにチェックインやチェックアウト待ちの人間がいるわけでもないから、この場にとどまっているのは俺だけだった。
立っても座っても落ち着かず、無意味に歩き回ったりしているうちに時間は経過して、漏れ聞こえる音で披露宴が始まったのだと理解する。
それからまた暫く時間が過ぎても、手に持っている携帯にはなんの連絡もないし、彼女が逃げ出してくる様子もない。
六年ぶりに幼馴染の顔を見るのだ、動揺しないだろうかと心配したけれど。
とりあえず、今のところは大丈夫のようだ、と少し気が抜けた。
途端に、頭の中でリピートされたのは
―――もしも、今日僕が途中で逃げ出さないで最後まで披露宴を終えて戻ってきたら
今夜、貴方の部屋に泊めてください
さっきの、慎さんの囁きだった。
―――その時は陽介さんも、今度は途中で逃げ出さないでくださいね
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