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すんすん、と鼻を鳴らしているとぱしん!と後頭部を叩かれた。
「くすぐったいから大人しくしてください!」
「……うぃっす」
うつ伏せで真琴さんの太股に伏せていると、つい唇で肌をくすぐりたくなる。
仕方なく、横向きになって真琴さんのお腹の方へ顔をすりよせた。
ちらっと上を向くと、耳まで真っ赤な仏頂面で唇を噛みながら俺を見下ろしている。
ああ、めっちゃ幸せだ。
「歯は痛くないですか」
「痛いけど幸せです」
そう言うと、ふっと溜め息が落ちてきて、手が俺の髪をなで始めた。
「気持ちいいっす……」
「はいはい」
「髪の毛も太股も」
つるつるしてすべすべして、真琴さんの手が優しくて、気持ちいい。
ほんとに、綺麗な肌。
触り心地もだけど、黒子も痣もなく、たまに俺がキスマーク付けすぎて真琴さんに怒られるくらいだ。
あ、それと。
他にはまったくないのに、一ヵ所だけ黒子の位置を知っている。
「ちょっ、指潜らせないで、くすぐったい!」
「真琴さん、ここ、黒子あるの知ってます?」
畳まれた右足の膝の裏に指を潜らせて、黒子の位置を示してくんくんと指を曲げた。
「そうなんですか? 知らない、そんなとこ見ないから」
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