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「いっ!!」
突然、陽介さんが片頬を抑えてカウンターテーブルに突っ伏した。
「陽介さん? もしかして、歯が痛い?」
「なんでもないっす、ちょっと冷たいのが染みただけで」
「いや、それ虫歯でしょう」
「大丈夫ですって、親知らずだし」
「だから虫歯ですって」
親知らずだろうとなんだろうと、虫歯は虫歯だろう。
「歯医者は行ったんですか」
「や、いつも数日したら治るんで」
「行きなさい」
馬鹿な。
虫歯が治療しないで治るわけないだろう。
話している間も、時折辛そうにひくひくと顔を歪ませる。
相当、痛いんだろうに。
面倒くさがって余計ひどくなったらどうするんだ、と呆れていたが、どうやら面倒だというわけではない、らしい。
片頬を抑えてひどく不安そうな表情で、ピンときた。
「もしかして、怖いんですか」
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