一章 続・紅き意志、それぞれの望み

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「結局、お前は自分の都合を優先しただけだろ。」 ふん、と鼻を鳴らしながら言ったシークに、クルスは鋭い視線をぶつける。 「否定はせん。教会の立場を良くする…ただその為だけを思い、ここまで来たのだ。」 「開き直るな!そんなことの為に…犠牲になった者が、苦痛を被った者が居るのだぞ!」 反省の色など全く見せないクルスに、シークは思い切り怒鳴る。 しかし、クルスは怯まない。 それどころか、 「今の平和の為ならば、些細なものだろう。」 と、身勝手な発言すらする始末だった。 それにはシークも最早我慢が出来なかった。 ぎろり、とクルスを睨み付けてゆっくりと歩み寄っていく。 それに気付いたクルスは、怯えた様子で後退る。 少しの間、お互いの距離は変わらなかったが、それもすぐに縮まり始めた。 クルスが、部屋の壁まで追い詰められたからである。 「わ、私を殺せば、事態は悪化するだけだぞ!」 「殺しはしない。身柄を渡す約束が有る。そうでなくとも、お前を公の場で裁こうという動きも有る。だが…。」 喚くようなクルスの言葉に、シークはそこまで返して剣を抜いた。 しかし、構えたのは鞘の方である。 「お前が与えた苦痛…その一部位は、味わって貰おうか。」 「!!」 シークがそれを振り下ろそうとした瞬間、勢い良く、部屋の扉が開かれたのだった。
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