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部屋には束の間の静寂が広がっていた。
片や、目の当たりにした状況に目を見張る者達。
片や、想定はしつつも何処か呆れたようにする者。
そんな中、最初に沈黙を破ったのは。
「何故来た?」
たった一言、質問を向けたシークだった。
実際、単純な答えは聞かずとも容易に予想出来る。
自分にこんなことをさせたくない、といったところなのだろう。
確かにシークは彼女の為に、という意味でもこんな行動に出たのだから。
そして、それを肯定した上でやはり尋ねたのだ。
どうして止めに来てしまったのか、と。
見詰めてくるシークの視線を受けて悟ったのか、セレスが口を開く。
「だって、そんなこと頼んでないし。」
「…なんだと?」
「勿論、私の為だけじゃないのも解るよ?何となくだけど。」
「なら止めるな。」
返ってきた言葉にシークは酷く呆れた様子で言って、再びクルスの方へ振り向く。
しかし、その背中に向けて、
「シークは言ったよね?これからどうしたいか考えろって。」
セレスは落ち着いた口調で話を続けた。
シークは背を向けたまま振り返らないが、動こうともしない。
続けろ、ということだ。
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